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new books| November 7, 2008





Jack Goldstein
Gorner, Klaus Gorner / Iles, Chrissie / Steiner, Shepherd
150 in colour, 20 in b/w, 200 pp, 26 x 22 cm, hardcover
English / German 2009

主に70年代後半から80年代を通して活躍し、近年再評価の気運が高まっているジャック・ゴールドステイン(2003年没)。
いわゆる『ピクチャーズ』世代として括られることが多い彼の実践は、「イメージ」の取り扱い方において他の『ピクチャーズ』展参加作家と共振する一方で、パフォーマンス、フィルム、絵画、写真、テキストなど、彼らに比べて媒体の振り幅がより激しいことで知られる。そのなかでも最も特異かつ重要な作品群が、本書の表紙にもあしらわれているLP作品だろう。視覚的・物質的要素と聴覚的・非物質的要素という相反する性質を併せ持ち、一方を十全に鑑賞しているときには他方を十全に鑑賞できないという点で、レコードは本質的に引き裂かれており、ゆえに美術という制度に真っ向から対峙するのである。それぞれの作品もまた、イメージとオーディオの間の関係性を掻き回すことで、新たな知覚体験を生成しようとするものだ。たとえば『Three Felled Trees』では、A面とB面を通じて合計3本の樹木が切り倒される音が録音されているが、A面の最後で切られた樹木は、B面が始まってすぐの時点ですでに地面に達している。ゆっくりと落ちていく滞空時間は、レコードを裏返すための時間にそのまま転写されているのである。フランクフルト近代美術館における大規模な回顧展にあわせて発刊された本書は、彼が試みた多様な実践の全貌を多数の図版と論考で紹介する決定版となっている。