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key materials| January 12, 2010





Peter Fischli & David Weiss: Hotel Paris
audio cassette tape (60 min.) in plastic case with original photo, 10.2 x 6.7 cm
ed. 141/150 (signed and numbered)
French 2003

 ハンス・ウルリッヒ・オブリストの企画によって、パリのモンパルナス、ラスパイユ通りにあるホテルの一室で1993年に開催された『Hotel Carlton Palace, Chambre 763』展では、寝室から浴室にいたるまで、母国/異国、定住/移動、集団生活/孤独といった二項の狭間をさまざまに行き交う大量の作品が室内を埋め尽くした(参加作家は総勢60人超)。ホテルの一室=旅人が移動の過程で短期間留まるための特殊な居住空間を舞台としたこの展覧会には、『Cities on the Move』展や『Do it』展にも通じるオブリストの問題意識を見て取ることができるだろう。
 フィッシュリ&ヴァイスによるオーディオ・テープ作品《Hotel Paris》は、会場に置かれたラジオ付カセット・プレーヤーから繰り返し流されたもので、チューリヒにある彼らのスタジオで60分にわたって録音されたフランスのラジオ局の番組がその中身である。それは、スイス(しかもドイツ語圏の街であるチューリヒ)で録音されたフランスのラジオをふたたびパリのホテルで流すことで、場所と言語と暮らしを結ぶ、当たり前だが興味深い関係性を鮮やかに浮かび上がらせようとする試みだった。
 このテープは、同作をそのまま再現したもので、エッフェリ塔を捉えたオリジナル・フォトがジャケットとなっている。作家によるサインとナンバリング付で、150部限定。貴重なアーティスト・ブック、ならぬアーティスト・テープである。


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